日本の布と衣にまつわる想い事を綴ってゆきます。
『卵から孵化した蚕たちが
旺盛にクワの葉を食べて成長する頃。』
という家蚕について表現した
季節の名称ですが、
野生の蚕も
木々の新芽のある今頃に
野山で活動するそう。
野蚕には色々な種類がありますが、
「繊維のダイヤモンド」と呼ばれる
天蚕は日本固有の品種。
クワではなく、
ナラやカシなどの葉を食べます。
纏向遺跡(奈良・桜井)では
3世紀後半の地層から
天蚕によって作られた小さな巾着袋が
第11代・垂仁天皇の
纒向珠城宮(まきむくたまきのみや)の
近くで発見されました。
その頃すでに大陸からの蚕も
飼育されていたようですが、
希少は天蚕は
お守りや匂い袋のような
小さなものに仕立てて
身につけていたのでしょうか。
大和三山のひとつ、
天香久山(奈良・橿原)には
「天の蚕生原旧跡」という石碑が
古道の脇にひっそりと佇んでいます。
大陸からの蚕を最初に飼育した地と
云われているそうですが、
天の蚕=天蚕とも読めるので
この地に天蚕が生息していたか
飼育していたのかもしれません。
奈良-ナラの木が多く自生していた地。
橿原-カシの木が多く自生していた地。
蚕起食桑頃に
エメラルドグリーンに輝く天の虫の住まう、
緑深い古の地へ想いを馳せています。。
掲載写真|天香久山と「天の蠶生原舊蹟」碑
一枚の紙を折り上げて作る
折り紙のように、
縫い代を切り取らずに
折り上げて作る平面の衣。
日本の布の衣では着物に倣い、
一つ一つの形に
畳み方を考えています。
基本は縫い目に添うように
畳んでゆきます。
皺にならずに平らに畳めて、
すっと入った折り目も
デザインの一部と思っています。
そして着物のように
たとう紙に納めます。
日本の伝統的な
折りたたみの文化を
新たなカタチで
お愉しみいただけますと
嬉しいです。
>> デザイン別たたみ方一覧へ
>> 掲載写真|ジャケット[三角]
お蚕様のご縁から琵琶湖を訪れました。
およそ400万年もの長い歴史をもつ
日本最大で最古の湖。
そこには独自の進化をとげた固有の
水生動植物が生息し、
その豊富な水は
古くから人々の暮らしを支えてきました。
そして織物もまた長い歴史があり
独自の進化をとげています。
日本有数の超軟水といわれる
琵琶湖の水で精錬された布は
しっとりとやわらかな風合いに仕上がり
上質な白生地の産地として知られています。
こうして生まれた一枚の布には
その土地の風土や歴史、
そして人々の力が凝縮されているのですね。
そういう背景も衣へ込めて
橋渡しができたらと思います。
精進精進。。
2026年3月13(金)→15(日)
琵琶湖の近くで展覧会をすることになりました。
>>『こしぐれの会』@滋賀・石山
会期を終えて...
>> 展覧会の御礼と展示風景
近くの山々で見つけた野蚕の繭たち。
お蚕さんの種類によって食べる葉が異なり、
吐き出す糸の色も違ってくるそうです。
近くで農薬を使っていると
生きられない繊細な生き物。
繭がいるということは、
そこに豊かな環境がまだ残されているということ。
こうして今まで守られてきた
野蚕の住める山を育んでゆきたい。
そして、一枚の布に宿るいのちをいつくしみ、
ずっとお召しいただけるような
衣つくりをしてゆけたらと思います。
いつか、集めた繭から布を織れたらいいですね。。