衣と形 -philosophy-
皆が着物を着ていた時代
すべての日本人が
衣服を同じようにたたんでいました。
同じ言語、同じ文字を使う民族はあるけれど
同じ衣服のたたみ方を持つ民族は
他にいないのではないでしょうか。
縫い目にそって折たたむことで
衣服が皺になるのを防ぎ
吸湿性のある和紙でつくられた、
たとう紙に納める。
湿気の多い日本で育まれた
衣服とのつきあい方です。
それは尺巾の布、直線断ち、和裁仕立ての
着物ならではの合理性でもあります。
日本の布の衣は、すべてのデザインが
平らにたたんでたとう紙に
たとう紙のサイズは
着物用、羽織用、帯用と規格があり
そのどれかに納めて衣服をお渡ししています。
たったひとつの形を、
性別や年齢、そして時代も超えて
纏うことのできる着物のように、
永く着続けていただける
衣服の在り方を追求してゆきたいと思います。